夏の着物、夏の帯

着物には四季折々に合わせた種類があり、季節ごとに衣替えをします。10月〜5月には裏地の付いた「袷(あわせ)」、6月・9月には裏地のない「単衣(ひとえ)」、そして7月・8月の夏には「薄物(うすもの)」「薄単衣(うすひとえ)」と呼ばれる涼しげな素材でできた、夏用の着物を着用します。近年は気温が変わってきているので、以前ほど衣替えの時期は厳密でなくてもいいようです。

 

<夏の着物>

薄物の着物の生地は織りが粗く、透け感・シャリ感のある生地が特徴です。「絽(ろ)」「紗(しゃ)」「上布(じょうふ)」などがあります。柄も夏らしいものになります。朝顔などの季節の花や水辺に生える草、水の流れといった涼感のあるものや、鈴虫、トンボといった夏の虫の柄も特徴的です。

 

■絽(ろ)

平織と搦み織を組み合わせ、経糸と緯糸を絡ませて隙間を作るように織ります。隙間の緯糸の数で「三本絽」「五本絽」「七本絽」と呼ばれ、絽目が横に連続するものを「緯絽(よころ)」、縦に隙間を配した絽は「経絽(たてろ)」と言います。種類もいろいろあり、絹、レーヨン、綿で織られます。

   

■紗(しゃ)

緯(よこ)糸1本に2本の経(たて)糸を交差させた「搦み織(からみおり)」という織り方の一種で、「捩り織(もじりおり)」とも言います。経糸をよじれさせ、その中に糸を通して織るので通気性がよく、光線の当たり具合で美しい目が表れます。絽よりもさらに透け感が高く、襦袢が透けて見えます、

 

■上布(じょうふ)

通気性に優れた上質な麻の織物で、苧麻(ちょま)の手紬糸やラミー糸を用いたものは全て上布と呼ばれます。柄には絣模様や縞柄があります。薩摩上布、越後上布、宮古島上布などがあります。麻なので水洗いができるのが夏には嬉しい素材です。

 

<夏の帯>
夏の帯も、上質なものから普段使いに適したものまでいろいろあるので、着物に合わせて選びます。種類は絽、紗、羅、麻、博多帯などがあります。透明感のある夏の着物とのバランスを考えて、帯も軽くて透け感があるものをしめます。夏は二重になった重い袋帯より、短い名古屋帯の方がいいかもしれません。博多帯は年間通して使うことができるので、持っていると重宝します。

  

<その他>

長襦袢にも袷・単衣・薄単衣があり、素材も麻、絹、綿、ポリエステルなどがありますので、上に着る着物の素材に合わせて選びます。帯締めや帯揚げ、半衿なども、透け感のある絽や紗、麻などで作られた夏らしいものを使用します。

(写真提供:夏の着物屋さん)
 http://www.s-kimono.jp/

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